Sunday, February 27, 2011

Karen Kunc's Show and Her Woodcut Workshop 2/20/11

4年ほど前にカレン・クンツの版画をマンハッタンのナショナルアカデミー美術館で観ました。和紙に刷られたその作品は、日本人なら誰もがなじみのある質感です。その反面色使いはとても斬新で、4年経った今でも私はその作品を良く覚えています。

そんな彼女が行ったマンハッタンでの3日間のワークショップに参加してきました。
私にとってはあこがれのアーティスト、カレンとの出会いにわくわくしながら。

カレンは明るく、素朴で、版画、特に木版画を心から楽しんで作品を創る女性でした。
彼女の技術は"Reduction Woodcut"といって、色をのせたい部分を残しながら木版を削っていく技法です。






まず下絵を描いてそれを2枚(時には3枚)の板にトレースします。2枚の板を使うことによって作品にのせる色と形の幅を広げることができます。作品の中には、観ただけではとても複雑でまねのできない様々なテクニックが隠れています。











”失敗を恐れずにとにかく刷ること。その経験が次の作品に活かされる。” そんなカレンの言葉に励まされながらも私たちは悪銭苦闘。3日間という短い時間の中で良い作品を完成させようと頑張ります。


カレンが持っているテクニックや知識のほかに、35年間続けてきた作家活動の中での彼女の作品の変化にたくさんインスピレーションをもらいました。作品の変化の中で一番目を引くのは、いらないものを削ぎ落としている部分と、その確信をもった色使いです。
































3月3日までマンハッタンのエリザベスアートファンデーション5階でカレンの作品が展示されています。機会のある方はどうぞ、オリジナルの作品をご覧ください。
http://www.efanyc.org/


カレン・クンツの作品/活動に興味のある方はカレンのホームページをご覧くださいませ。
http://www.karen-kunc.com/index.php

Thursday, February 10, 2011

David Reed's Studio Visit 2/10/2011





デヴィト・リードの作品を初めて見た時、上手く言葉で表現できない感情が生まれたのを覚えています。一見、グラフィティーっぽくも見えるけど、水彩画を連想させるもする。生物上の何か、もしくは体内にあるものにも見えるけれど、自分が水中にいるような感覚を思い起こさせもする。

そんなユニークな作品を発表し続け、長くアート界の第一線に立つデヴィットのマンハッタンのソーホーにあるスタジオを訪ねました。

創作中のペインティングたちの横、壁びっしりと貼られている作品の計画図の様なもの。





”作品が新しい作品を呼ぶ”。そういう彼の繊細な字で埋まったノートは、それ自体がアートのように、生き生きとしています。

何度も試行錯誤を重ね、自分が求める色相、透明/不透明性、そしてコンポジションを模索していく。自分が納得いくまで時間をかけて作品を仕上げるとのこと。なので、テクニック自体はスピードを要するものでも、長いときは4、5年かけてひとつの作品を仕上げるそうです。






これは上の計画図をもとに製作中の作品。

主張の強い作品と思っていたので、実際デヴィットに会って話してみて、彼の穏やかな口調や受け答えに意外性を覚えました。






私からのデヴィットへの質問は、”1980年頃から始めたというこの独特なペインティングスタイルとの出会いはまったくの偶然だったのか。それとも長年の努力の末、やっと見つけたものなのか”、ということ。

デヴィットは私にその中間だ、と言いました。”長く自分のスタイルを模索していたのも事実。その結果、このスタイルを生み出すことができた”、と。






作品制作、出版物製作のほかに、2年に一度キュリエーターとなってグループ展を開催してもいるとか。彼がバランス良く、自分の作品への集中力を絶やさないことと、若手やアーティスト仲間の活動を応援する姿勢は素晴らしいと思います。

最後に、3月の上旬、ノルウエーのオスローでの二人展に出品予定の作品たちのイメージをお届けします。






今回ご紹介したデヴィット・リードのウエブサイトはこちらです。

Saturday, February 5, 2011

OPENING NIGHT in CHELSEA 2/3/2011

記念すべき第一回目はチェルシーのDC MOOREギャラリーで開催中の私のメントァー(師)、ロバート・クシュナー画家の個展のオープニングについて。

不況の影響を受けてニューヨークのギャラリーシーンもだいぶ様変わりしています。この1年で閉まったギャラリーも数しれず。

そんな中、今まで高くて手の出せなかった良いロケーションをフェアな価格で借りる事ができ移転するギャラリーも沢山あります。

今回のDC MOOREギャラリーもその1つで、元々は20世紀後半に栄えたマンハッタンのミッドタウン(57ストリート辺り)に構えていたのを、今回の展示からロケーションを移して開催中。






作家仲間とニューヨークのさむーい冬空の中をてくてくギャラリーまで向かいました。

参考までに、チェルシーがギャラリーとして栄えるまで、そこは工業地帯だったので、なんとなくがらーんとしているし、最寄りの23ストリート駅から遠い!今年の冬は例年になく寒いのでこたえました。

到着、そしてエレベーターが開くと、人、人、人!!!移転してから初の展示という事もあって会場は沢山の人で賑わっていました。






ロバートが主に描くのは生命力が生き生きと感じられる花たちです。

線がしっかりして鮮やかな花弁が付いた骨太な花から、果敢なげな繊細な花。
百本あったら百通りの生き方があり、それを旅先から持ってかえったアンティークペーパーに描きます。

English,  Latin,  Arabic, French, Chinese, Italian, and Japanese etc......






彼は私にこんなアドバイスをくれました。

” 作品と対話をすること。自分の作品に尋ねてみるのです。その線はもっと太く力強くして欲しいのか、その逆か。使っているアイデアやキャンバスに配色は合っているのか。コンポジションはどうか。作品が教えてくれる答えに耳を傾けなさい。”

彼は40年近くそんな問いかけをくり返し、自分と自分の作品に正直に向き合おうとしているそうです。

このほか、会場には6点の大きな油彩画が展示されていました。






どこかアジアの雰囲気をかもし出している油彩画たち。でもやはり選ぶ色のそれは、西洋人のローバートらしさが出ていると私は思います。


今回紹介しました画家、ギャラリーの情報は下を参照ください。
www.dcmooregallery.com